第10戦MFJグランプリinもてぎ(’99.11.7)


 泣いても笑っても今年最後のレースがやってきた。後半戦に驚異的な追い上げを見せた大治郎選手は、ポイントランキングトップの松戸選手に3ポイント差まで詰め寄る。逆転チャンピオンになるためには優勝しかない・・・
1週間前の事前テストで乗った2000年型プロトタイプNSRで1'52.1をマークしている大治郎選手。今回はこのマシンとともに戦うことになった。 金曜のスポーツ走行ではただ1人1'53秒台をマークしトップで終了、予選に期待がかかる。
そして土曜日予選1回目、他の選手が54秒〜55秒台で走行しているのに対し、大治郎選手は7週目に1'53.412、8週目には1'53.348、さらに9週目1'53.040と自らのタイムを着々と更新し(同時にコースレコードも更新)、このタイムが破られることはなく終了。2位嘉陽選手とのタイム差は1秒以上、4番手松戸選手との差は2秒以上もあった。
予選2回目に入っても勢いは止まらずなんと1'52.961をマーク!!GP帰りの中野選手もようやく53秒台に入れてきたものの大治郎選手には届かず・・・見事P.Pを獲得!これで3戦連続^^。2位中野選手、3位嘉陽選手、4位松戸選手、5位宇川選手となった。 今回も事前テストからすべてトップの大治郎選手。”優勝そしてチャンピオンへ”・・・私たち応援団も気合いが入る。
いよいよ明日、決戦の時を迎える・・・

11月7日(日)  くもり
 そして迎えた決勝。朝のフリー走行トップは1'54.620をマークした中野選手。大治郎選手は2番手。決勝を直前に控えあまり無理をしていない様子・・・一方ライバル松戸選手にアクシデント発生!なんと決勝用マシンで転倒を喫してしまったのだ。幸いケガはなかったようだがマシンのダメージが気になる・・・これがどう決勝に影響するのか??徐々に近づいてくる”決戦”にいつも以上に緊張する私。食事も喉を通らない・・・

 決勝スタートまであと僅か・・・直前のピットウォーク中にぽつりと雨が落ちてきたものの何とか持ちこたえ、15分遅れでマシンはピットから 離れてP.Pグリッドへ。大治郎選手はもちろんのこと、私たち応援団も優勝&チャンピオンに向けて気合いが入る。 グリッド上の大治郎選手を取り囲むスタッフもいつも以上に多い。やるだけのことはやった、あとは頼むぞ大治郎&NSRといった思いであったのだろうか・・・???

ビジョンに映し出される大治郎選手のインタビュー


 そして13:30決勝スタート。好スタートを切りホールショットを奪ったのは#1昨年の全日本チャンピオン中野選手、2位には5番手スタートの#4宇川選手、P.Pスタートの#100大治郎選手は3位、以下#3松戸選手、#10嘉陽選手と続く。3コーナーでインから松戸選手をかわした嘉陽選手が4位へ浮上、大治郎選手に迫る。中野、宇川、大治郎、嘉陽、松戸の順位でコントロールラインを通過。2週目のストレートエンドで大治郎選手は宇川選手をかわし2位へ浮上、中野選手を追撃する。
一方ライバル松戸選手は5位、4位嘉陽選手との差が少し広がる・・・朝のフリー走行で転倒してしまった松戸選手。決勝はTカーでの出走となってしまい、その影響が出ているのか??その後大治郎選手はダウンヒルストレートで中野選手をかわしトップへ浮上、後続を引き離しにかかる。2位中野選手と3位宇川選手の差も開きはじめ、宇川選手は単独3位へ。
後方では徐々に嘉陽選手と松戸選手との激しい4位争いが展開されていたが、7週目にようやく嘉陽選手をかわし4位へ、1つでも前を狙う。
トップの大治郎選手と2位中野選手は、ほぼ同タイム53秒後半から54秒前半で周回を重ねているため、なかなか差が縮まらない・・・一方3位宇川選手の後方につけている松戸選手も徐々に追い上げを見せ、周回ごとに差が縮まっていく。大治郎選手がチャンピオンを獲得するためには何としてでも宇川選手に松戸選手を阻止してもらわなければ・・・と思っていた矢先、12週目を終えたホームストレートでまさかのマシントラブル・・・悔しそうにピットに戻る宇川選手。これにより3位に上がった松戸選手。
2位の中野選手もYAMAHAだけに残り周回の展開が非常に気になる私たち・・・YAMAHAからのチームオーダーは出てるのだろうか??? トップの大治郎選手と2位中野選手の差が徐々に広がる・・・これは3位松戸選手を先に行かせる作戦に出たのか??しかし、2位と3位の差も 15秒以上ある・・・ひたすら優勝に向かって走り続ける大治郎選手。まさか・・・が起こらないことを祈る私たち・・・
しかし、悲劇は起こってしまった。 なんと19週目、中野選手がスローダウン。マシントラブルによりリタイヤとなってしまったことにより、松戸選手2位に浮上。このままの オーダーではチャンピオンの座は松戸選手に奪われてしまう。何とか3位嘉陽選手に頑張ってもらわなければ!しかし、残り周回はあと1周・・・
そして、真っ先に現れたのは大治郎選手。後続に大差をつけぶっちぎりの優勝!!!2位には松戸選手、追い上げ及ばず3位には嘉陽選手が入った。
「行くしかない」・・・レース前にそう語った大治郎選手。
優勝目指してひたすら前だけを見て走り抜いた姿は本当に
かっこよかった。 レースになるとまるで別人になる大治郎選手。
このときばかりは雲の上の存在に見える・・・
これによりポイントは171と同点、優勝5回2位4回リタイヤ1回と全く同数となったため、MFJの規定により昨年のランキング上位という基準が適用されチャンピオンは松戸直樹選手となりました。
優勝、チャンピオンをたたえ合う大治郎選手と松戸選手。今シーズンの
2人の戦いは、最後まで私たちを沸かせてくれた。大治郎選手にとって
は残念な結果となってしまったが、「優勝できてよかった」と語る大治郎
選手・・・GP組はリタイヤに終わってしまったが、最終戦ぶっちぎりの優
勝は文句なしのナンバーワンといえるだろう・・・おめでとう!!
 どんな状況にあっても果敢に攻める大治郎選手。一時は29もあったポイント差も、第7戦鈴鹿の優勝で9ポイント差と詰め寄りました。 「残りはすべて勝つつもりで頑張る」という言葉通りに8,9,10戦はすべてポールtoウィンと完璧な勝利。結果、残念ながらチャンピオン獲得はできなかったが、ここが最終目標ではない。世界が待っている!ついに念願の世界GPへ参戦のときが近づいている・・・

 現時点ではまだ正式発表はありませんが、世界に行っても世界中をあっと言わせる走りをしてくれることでしょう!!今日このレースのように・・・
新たなレースの歴史の1ページに、”加藤大治郎”という名が刻まれる瞬間をみんなで迎えられることを願って・・・
いつまでも応援しています。頑張れ、大ちゃん!!

GET THE WORLD CHAMPION! 大治郎!!

大治郎選手をはじめチーム関係者の皆様、スタッフの皆様、本当にお疲れさまでした。

素晴らしいレースをありがとう、そしてお疲れさまでした・・・


写真はこちら


決勝結果


編集後記